【実践コラム】コロナ後の融資動向について

決算の内容がますます重要になります

コロナ禍の中小企業への融資残高は、2021年3月期で340兆8,744億円(前年比4.4%増)と急増し、過去最高を記録したようです。

初めて銀行が傘を貸したと表現されるほど、過去に類を見ない、異次元の融資が実行されたことを意味しています。

実際に多くの中小企業が、実質無利子・無担保融資の恩恵を受けました。弊所の関与先様も相当数コロナ融資を利用しましたが、結果的にコロナウイルス感染拡大の影響は限定的で、逆に過去最高のキャッシュポジションを有している関与先様もいらっしゃるほどです。本当に多くの融資がなされたと実感します。

しかし、残念ながらコロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた企業様もあります。このような企業様は、コロナ融資を今後どのように返済していくかが大きな課題となります。

コロナ禍が収束した時、コロナ前の利益に戻ることはあっても、利益が倍に増える理屈はありません。既存の借入返済もある中で、コロナ前の利益でコロナ融資まで返済していくのは簡単でありません。多くのコロナ融資が不良債権化することが予想されています。

コロナ融資は保証協会の保証がありますので、民間の金融機関が実質的に痛手を負うことはありませんが、それでも融資には慎重にならざるを得ないと考えます。銀行の審査は、近年は事業性評価等の気運も高まっていましたが、バブル崩壊後に登場した金融検査マニュアルを基にした過去の財務内容を定量化した審査に逆戻りしてしまう懸念があります。

対策としては、営業を立て直して早期の黒字化を実現することが最善ですが、金融機関から評価を得られる財務活動を実施し、決算の内容を少しでも良くすることが重要になります。場合によっては、固定費の削減など、痛みを伴う改革が必要になるかもしれません。

大変厳しい言い方になりますが、貴社が今存続しているのは、過去に類を見ない異次元の融資により生きながらえているだけかもしれません。もしそうであれば、今後は簡単に融資を受けられないことを認識し、生き残りのために本気の改革が必要です。

弊所では、どのような財務内容を目指すべきか等、財務戦略を立案するお手伝いをしております。是非、ご相談ください。