【実践コラム】右腕、No.2の採用について

どの分野を補完して欲しいかイメージを明確に持つことが肝要です

ある社長様から、「右腕になってくれる人材が必要だ」と相談を受けました。このような悩みは、多くの中小企業経営者が抱える課題ではないでしょうか。

ただ、「右腕」という言葉には様々な意味が含まれます。具体的にどのような役割を期待しているのかお聞きしたところ、「粗い情報を投げるだけで書類を作成してくれる人材」という回答が返ってきました。経営計画書や銀行への提出書類などを整備してくれる人材を必要としているようです。

そのような人材は、一般的に財務部長という役割にあたります。しかし、中小企業においては、財務部長がいるケースはまだまだ限られているため、自身が望んでいる人材が「財務部長」であることに気づかなかったとおっしゃっていました。

「右腕」を探しやすくするためには、経営者自身が求める人材像を具体的に描くことが重要です。今回のケースでは、「粗い情報を投げるだけで書類を作成してくれる人材」より「財務部長」を探す方が、見つかる確立ははるかに高くなるはずです。

求める人材は経営者によって異なります。営業が苦手な経営者なら営業部門を強化したいかもしれませんし、戦略立案が苦手な経営者なら経営企画部門を強化したいと考えるかもしれません。重要なのは、自身が望む人材の役割を明確にして採用活動に臨むことです。

右腕採用の失敗は、中小企業にとってコスト面だけでも大きなダメージになります。候補者と綿密なコミュニケーションを取り、自社のビジョンや目標を伝え、共感を持って取り組んでくれる人材を慎重に探しましょう。そして一度採用したら、その人材の成長を支援することも大切です。教育や育成の機会を提供し、やる気を引き出すような環境を整えることが求められます。

優秀な右腕やNo.2の存在は、中小企業の成長に欠かせない大きな要素のひとつです。適切な人材を見つけることで組織の競争力を高め、成功に近づけることができます。まずは、経営者自らが、求める「右腕」のイメージを明確にすることが肝要です。