【実践コラム】原材料価格の高騰について

資金繰り悪化に備えましょう

2021年3月頃から輸入木材の価格が高騰しています。ウッドショックと呼ばれていますが、同様に鋼材の価格も高騰するアイアンショックも懸念されています。特に鋼材の値上げ幅は10%以上とも言われており、鋼材を原材料とする企業は対策に追われている状況です。

原材料の価格高騰は、販売価格に転嫁するのが基本ですが、販売先との関係上、上昇分の100%を転嫁するのは困難なケースが多いようです。従いまして、木材や鋼材を主な原料とする事業者におかれましては、減益を覚悟しなくてはならない状況です。

減益によりキャッシュフローが悪化すれば、資金調達を行ってキャッシュフローを改善する必要があります。2008年に原油価格が高騰した際、原材料価格高騰対応等緊急保証という融資制度が発表されました。今回も同様の制度が発表されるか分かりませんが、発表された際には利用できるよう、アンテナを張っておきましょう。

現時点で活用できそうな制度は日本政策金融公庫の「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」です。原材料の高騰を直接的にサポートする制度ではありませんが、経営環境の変化により業績が悪化した場合に利用できる制度です。

・ご利用いただける方
社会的な要因による一時的な業況悪化により資金繰りに著しい支障を来している方または来すおそれのある方等

・融資限度額
4,800万円

・返済期間
設備資金 15年以内
運転資金 8年以内

制度の詳細は下記URLからご確認願います。
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/07_keieisien_m.html

深刻な原材料高が起きています。まずは価格転嫁、効率化による原価率の改善、固定費の削減を行い、新たな資金調達の準備も始めましょう。