【実践コラム】利益が出ているのにキャッシュフローがマイナス
銀行融資を受けるポイントを説明します。
利益は出ているのに、なぜか資金繰りが苦しいという経験はないでしょうか。この状況、実は珍しくありません。今回は、この状況を銀行にどう説明し、融資を受けるかについてお話しします。
■ 利益が出ていてもキャッシュフローがマイナスになる理由簡単に言えば、お金の入りと出のタイミングがずれているからです。例えば、
・売上は立っているけど、まだお客様からお金をもらっていない・仕入れはしたけど、まだ商品が売れていない
こういった状況で、利益は出ているのに、手元のお金(キャッシュ)が足りなくなることがあります。
■ 銀行員の目線を理解しよう
銀行員は、営業キャッシュフロー(営業CF)がマイナスだと心配します。しかし、その理由を正しく説明できれば、融資してもらえる可能性は十分にあります。説明のポイントは、資金繰り表を使うことです。
収支の状況を言葉だけで説明するのは難しいため、資金繰り表を用いて以下のことを明確に示すことが重要です。
1.なぜ今キャッシュフローがマイナスなのか
2.将来どうやってプラスに転じるのか
■ 具体例:通信販売事業者のケース
月の固定費が100万円で、粗利率が30%の会社を考えてみましょう。
1.売上400万円、仕入350万円の場合:
・利益:400万円×30%-100万円=20万円(黒字)
・キャッシュフロー:400万円-350万円-100万円=-50万円(マイナス)
2.同じ売上で仕入を280万円に抑えた場合:
・利益:400万円×30%-100万円=20万円(変わらず)
・キャッシュフロー:400万円-280万円-100万円=20万円(プラス)
この例を使って、「売上が好調であり、更なる売上拡大のために仕入を増やしているためキャッシュフローがマイナスとなっているが、仕入れを調整すれば、すぐにキャッシュフローをプラスにできる」と説明できます。
■ まとめ:銀行融資を受けるためのポイント
1.資金繰り表を用意し、視覚的に説明する
2.なぜ今キャッシュフローがマイナスなのか、具体的に示す
3.どうやってプラスに転じるのか、数字を使って説明する
4.自社の成長戦略と、それに伴う資金需要を明確に伝える
こうした準備をしっかりすれば、「利益は出ているけど営業キャッシュフローがマイナス」という状況でも、銀行融資を受けられる可能性は十分にあります。自信を持って交渉に臨みましょう。