【実践コラム】粗利が落ちる会社に共通するパターンについて
値下げと原価上昇のどちらが原因かで打ち手は変わります。
前回は、損益計算書をぶれずに読む順番として、最終利益より先に粗利と固定費の構造を押さえる話をしました。
今回は、その粗利が落ちるときに起きやすいパターンを整理します。
粗利は、売上から原価を引いた残りです。
粗利が落ちると、固定費を払ったあとに利益が残りにくくなります。
資金繰りにも直結します。
キャッシュポジションを最低でも月商一か月分以上に保つためにも、粗利の変化は早めに捉えたいところです。
粗利が落ちる理由は大きく分けて二つです。
・売価が下がった。
・原価が上がった。
この二つを分けて考えると、対策が具体的になります。
売価が下がるパターンは、値下げが増えるケースです。
・競合が増えた
・受注を優先して単価を落とした
・値引きが常態化した
こうした状況が続くと、売上は維持できても粗利率が下がります。
特に注意したいのは、受注を増やしたのに利益が増えない状態です。
売上の伸びが努力で作れている分、粗利率の悪化に気づきにくくなります。
原価が上がるパターンは、仕入や外注費、人件費の上昇が影響するケースです。
・原材料費の上昇
・外注単価の上昇
・物流費の増加
・製造や現場の人件費の増加
売価を据え置いたまま原価が上がると、粗利は削られます。
この場合は、値上げや原価改善の検討が避けられません。
もう一つ、粗利が落ちるときに見落とされやすいのが、商品や案件のミックスの変化です。
・粗利率が高い商品が減り、粗利率が低い商品が増える。
・単価が高い案件が減り、薄利の案件が増える。
この変化は、個別案件では気づきにくく、月次や決算で初めて見えることがあります。
粗利が落ちたときに社長が最初に確認したいのは、粗利率の前年差です。
粗利の金額だけを見ると売上規模の影響を受けます。
粗利率を見ると、単価や原価の変化が見えやすくなります。
次に、値下げの有無を確認します。
値引きが増えている場合、粗利率は素直に下がります。
現場が受注を取るために値引きを選んでいないか。
社内で単価の基準が守られているか。
この点は、経営判断として一度整理する価値があります。
原価側では、仕入単価や外注単価の変化を確認します。
取引先の値上げが続いている場合、粗利率は放置すると下がり続けます。
この場合は、販売価格への転嫁、仕様の見直し、仕入れ先の再検討など、打ち手の選択肢を早めに持つことが重要です。
粗利の悪化は、遅れて効いてきます。
月次では耐えているように見えても、積み重なると資金が薄くなります。
月商一か月分以上のキャッシュを維持するためにも、粗利率の変化を早めに捉え、原因を分解して考えることが有効です。

