【実践コラム】新型コロナ対策資本性ローンによる財務体質強化ついて
現行の資本性ローンとの比較を確認します
まずは現行の資本性劣後ローンの特徴について再度確認します。
■ 現行の資本性ローンの主な特徴
1)元金は最終期限一括でのご返済となり、最終回までは、利息のみの支払となります。
2)業績に応じて金利が決定される仕組みとなっており、赤字のときは金利負担が小さくなります。そのため、安定的な返済計画を立てることができます。
3)資本性ローンによる借入金は、法的倒産時には、償還順位が他の全ての債務に劣後します。
これらの特徴を備えた資本性ローンは、金融機関の資産査定上、自己資本とみなすことができるため、民間金融機関からの融資が受けやすくなります。また、資本性ローンは、株式ではないため、既存株主の持株比率を低下させることもありません。
■ 現行の資本性ローンと共通する点
1)無担保無保証人
2)期日一括償還
3)法的倒産手続きの開始決定が裁判所によってなされた場合、全ての債務に劣後する。
4)金融機関は資産査定上、自己資本とみなすことができる。
■ 現行の資本性ローンと異なる点
1)利用要件
【現行資本性ローン】
・技術・ノウハウ等に新規性が見られる方
・経営多角化・事業転換を行う方
・認定支援機関の指導を受けて新たな取組みを行う方
・中小企業再生支援協議会の支援を受けて事業の再生を図る方
【新型コロナ対策資本性ローン】
・JーStartupプログラムに選定された方又は中小企業基盤整備機構が出資する投資ファンドから出資を受けて事業の成長を図る方
・中小企業再生支援協議会の関与のもとで事業の再生を行う方又は中小企業基盤整備機構が出資する投資ファンドの関与のもとで事業の再生を行う方
・上記に該当しない方であって、事業計画書策定し、民間金融機関等による支援を受けられる等の支援体制が構築されている方
2)利率
【現行資本性ローン】
・0.45%~5.5%
【新型コロナ対策資本性ローン】
・0.5%~2.95%
3)融資限度額
【現行資本性ローン】
・3億円
【新型コロナ対策資本性ローン】
・10億円
4)返済期間
【現行資本性ローン】
・5年1か月、7年、10年又は15年
【新型コロナ対策資本性ローン】
・5年1か月、7年、10年、15年、20年のうちいずれか
特定のファンドからの出資や再生支援協議会の支援等が要件に盛り込まれ、利用のハードルが上がってしまった感があります。しかし、金融機関の協調支援等は比較的協力を得やすいところだと思いますので、積極的にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。