【実践コラム】コスト体質の定期チェック

定期的にコスト構造を見直しましょう

新型コロナウィルス感染拡大の影響が長引いており、幅広い業種で悪い影響が着実に進行している印象です。直接的に影響を受ける業種は防ぎようがない場合もありますが、間接的な影響で経営悪化に陥る企業は、人間と同じく、元々何らかの疾患があったのではないでしょうか。

企業の疾患はいくつかありますが、最も多いのは「高コスト体質」です。業歴の長い企業様によく見られますが、まずまず売上があるにも関わらず、赤字体質となっている企業です。

このような企業様に共通して見られるのは、まず管理部門の人件費負担が大きい点です。売上高はピーク時の半分になっているにも関わらず、管理部門の人員は半分になっていない、業務オペレーションも昔から変わっていない、などが原因として挙げられます。

新興企業の管理部門はコンパクトです。管理する項目が元々少ないというのもありますが、ITツールを活用し、最低限の人員、オペレーションで業務を回しています。一例ですが、記帳業務は経理が会計ソフトにダイレクトに入力し、上司や社長は会計ソフトに自身でアクセスして業績やお金の動きを見ています。
一方、高コスト体質の企業は、まず紙の振替伝票を作成し、それを上司がチェックして、ようやく会計ソフトに入力するなど、作業が重複している部分があります。より正確性を求めるという点においては正解ですが、利益とのバランスをとるべきです。

次に、相場より高い費用を払っているケースもお見受けします。例えば、自社開発した管理ソフトのメンテナンス費用が高額である場合等です。販売管理ソフトや会計ソフト等は高性能かつ安価なものがたくさん出ています。業務オペレーションを変えるのは負担だという理由だけで、高額なうえに性能が劣る自社開発ソフトを使い続けるのは問題です。

また、購買先が硬直化しており、相場よりも高い料金を支払っているケースもよく見られます。例えば印刷費です。毎年作成しているチラシやパンフレットの類を昔からのお付き合い先に任せています。何の疑問も持たず、前年に倣って発注していますが、印刷費は近年大幅に価格が下がっています。もちろん企画やデザイン料は下がりませんが、印刷費自体は大規模な設備投資により価格の引き下げに成功した業者が複数あります。取引先を大切にすることは賛成ですが、馴れ合いの関係が経営を圧迫することがあってはいけません。

個別の事例をいくつか挙げましたが、問題は意識の硬直化、ルーティン化にあります。厳しい事態を生き抜くため、定期的にコスト構造を見直すようにしましょう。