【実践コラム】スタートアップ企業の資金調達について
2回目の調達の成否がその後の命運を分けます
資金をガソリンに例えると、どこに給油ポイントがあるか分からないことが、スタートアップの経営を困難にしています。ガソリンがどれぐらい持つか分からない、どこに給油ポイントがあるか分からない、給油ポイントがあったとしてどれぐらい給油できるかも分からない、という状態で目的地に辿り着くのは至難の業です。
まずは一般的なスタートアップ企業の資金調達の実態を知りましょう。創業時は、日本政策金融公庫や信用保証協会で創業融資が用意されています。要件さえ満たせば、比較的簡単に融資を受けることが出来ます。
最初は自己資金で創業し、お金が足りなくなったら借りに行こうという方もおられますが、上手くいかないことが分かった時点で融資を申し込んでも、断られる可能性が高くなります。創業時に立てた計画通りに進捗することは殆どありませんので、上手く行かないことが露呈する前、創業時に最大限の調達をしておくことがポイントです。
ただ、本当の勝負は2回目の借入です。創業融資は比較的誰でも借りることができましたが、2回目の融資は審査が厳しくなるため、その融資を受けられるかどうかで命運が分かれます。
2回目の融資を受けられる時期は、1期目ないし2期目の決算が終わったあたりです。裏を返せば、創業から1~2年は自己資金と創業融資で頑張らなくてはならないということです。まずは給油ポイントまでの1~2年間を何としても生き延びなくてはなりません。
しかし、単に生き延びただけでは融資を受けるのは難しいかもしれません。2回目の融資からは業績が重視されるため、売上や利益といった結果が必要になります。それなりの業績を残さないと次の扉が開かない仕組みです。
2回目の融資は簡単ではないことを理解してもらえたと思いますが、本当は利益を出せるのに、納税を嫌い、敢えて業績の悪い決算を組む創業者の方も少なくありません。事業を拡大したいと考えているならば、絶対に避けたいミステイクです。
2回目の融資を断られる、もしくは少額に留まってしまうと、前に攻めることができない⇒低成長⇒さらに融資も出なくなるという悪循環に陥り、事業の拡大どころか、会社の維持が精一杯という状態に陥ってしまいます。
一方、納税を受け入れて利益をしっかりと出した企業は、2回目のファインナンスにより企業を成長させることができ、その成長が更に融資を呼び込みます。
1期目もしくは2期目の決算処理を誤ることで、5年後の姿が大きく変わることを知ってください。