【実践コラム】コロナ融資の資金使途について
金融機関は経営者の想像以上に資金使途を重視しています
金融機関から借りたお金を何に使おうがこちらの勝手」と考えている経営者は少なくありません。しかし、経営者が考えている以上に、金融機関は資金使途に重きを置いています。融資金を当初の目的と違うことに使った場合、その後に融資を受けられなくなったり、場合によっては一括返済を迫られたりします。コロナ融資については、特に使い道をトレースされるケースが増えています。通帳コピー等の提出を求められることもありますので、十分に気を付けてください。
◆資金使途違反となるケース
・設備資金として融資を受けたが、その後設備の導入を取りやめたため、運転資金として使用した。
・設備資金として融資を受けたが、当初の計画よりも大幅に安く設備を購入出来たため、余った資金を運転資金として使用した。
・設備資金として融資を受けたが、別会社の方が良いと考え、別会社の名義で設備投資を行った。
・商品の仕入資金として融資を受けたが、かねてからバーの経営に興味を持っており、たまたま良い話があったので、その出店資金に使用した。
・運転資金として融資を受けたが、知り合いの社長が資金繰りに困っていたためお金を貸した。
・運転資金として借りた融資金を、個人的な住宅の購入に使用した。
・運転資金として借りた融資金を、子会社設立のための資本金に使用した。
・運転資金として借りた融資金を、子会社に貸し付けた。
・補助金の交付を受けるまでのつなぎ資金として融資を受けたが、補助事業以外のことに資金を使用した。Etc
銀行は、「資金を○○に使うことで業績が良くなる。」という前提で審査を行っておりますので、○○(資金の使い道)が変わってしまえば審査をした意味がなくなります。また、資金の使い道は変わっていなくても、お金を使う会社が変わってしまえば、こちらも前提条件が大きく変わります。
実務的には、使用された資金が自己資金なのか、借入金なのか、という見極めは難しいです。しかし、設備資金として融資したにも関わらず、その後の決算書に固定資産が計上されていない場合は言い逃れができません。また、子会社出資金、貸付金等の勘定が決算書に上がっていれば、資金使途違反を疑われます。
コロナ融資で必要以上の融資金を借り入れた企業が、仮装通貨の購入などに融資金を流用しているケースが散見されているようです。金融機関との関係が悪化する行為ですので、気を付けてください。