【経営コラム】新しい資本主義へ(骨太の方針、抜粋)(その3)
中堅・中小企業の活力向上・債務が増大している企業や家計への対応
…前回号のつづきです。
◆包摂社会の実現の頁には、(中堅・中小企業の活力向上)と(債務が増大している企業や家計への対応)の記載があります。
以下、要点を箇条書きで抜粋しました。
・切れ目のない継続的な中小企業等の事業再構築や生産性向上の支援、円滑な事業承継やM&Aの支援、伴走支援を行う体制の整備等に取り組む
・サプライチェーン全体の付加価値の増大とその適切な分配を推進する
・創業等の促進のため、官民金融機関・信用保証協会における経営者保証に依存しない融資を一層推進する
・EC活用等を通じた中堅・中小企業の輸出力の強化や製品の試作・開発の支援体制強化を図る
・地域企業におけるDX実現や人材育成等の地域の主体的な取組を促進する
・地域の中核企業・中小企業・小規模事業者の実情に応じた収益力改善・事業再生・再チャレンジを図るため、返済猶予・資金繰り支援、経営改善・事業転換・再構築支援、資本基盤の強化、債務減免を含めた債務整理等に総合的に取り組む
・事業再構築を容易にするため、債務がその足かせにならないよう、新たな事業再構築法制の整備を進める
◎中小企業の最大の課題は、ビジネスモデルの陳腐化やIT化遅れによる生産性の低さ、併せてコロナ禍による財務の棄損があげられます。また、挑戦する企業や個人に対して、そのリスクを低減するための個人保証の撤廃にも再度言及しています。さらに、円安基調の中でECを活用した輸出事業を伸ばして欲しいとの意向もありそうです。
これらの方針に沿った形で、補助金や助成金がどんどん創設されることでしょう。
※コロナ融資については、「債務免除」という言葉も使っています。国の要請で営業自粛や時短営業を受け入れた事業者様の中で、資本が棄損しているが収益が改善している事業者様は、その対象になり得るかも知れません。BSを犠牲にしてもPLを作る、この方針で経営してください。
以下、2.社会課題の解決に向けた取組の頁です。
ご一読ください。
(中堅・中小企業の活力向上)
地域の経済やコミュニティーを支える中堅・中小企業の生産性向上等を推進し、その活力を向上させ、経済の底上げにつなげていく。感染症に加え、デジタル、グリーン等の事業環境変化への対応を後押ししつつ、切れ目のない継続的な中小企業等の事業再構築や生産性向上の支援、円滑な事業承継やM&Aの支援、伴走支援を行う体制の整備等に取り組む。
これらの施策の活用によるサプライチェーン全体の付加価値の増大とその適切な分配を推進するため、「パートナーシップ構築宣言」の拡大に取り組むとともに、取引適正化を強力に推進する。あわせて、2023年10月のインボイス制度実施を見据えて標準化された電子インボイスの普及促進等を行うほか、中小企業のサイバーセキュリティ対策を支援する。
加えて、創業等の促進のため、官民金融機関・信用保証協会における経営者保証に依存しない融資を一層推進する。さらに、地域経済を牽引する事業の発展を推進するため、内外の価格動向など事業環境の変化も踏まえ、EC活用等を通じた中堅・中小企業の輸出力の強化や製品の試作・開発の支援体制強化を図るとともに、地域企業におけるDX実現や人材育成等の地域の主体的な取組を促進する。
(債務が増大している企業や家計への対応)
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた企業に対して資金繰り等の支援に取り組んできた中、企業債務が増大していることに加え、原油等の価格高騰の影響を受けている状況への対応に万全を期す。具体的には、地域の中核企業・中小企業・小規模事業者の実情に応じた収益力改善・事業再生・再チャレンジを図るため、返済猶予・資金繰り支援、経営改善・事業転換・再構築支援、資本基盤の強化、債務減免を含めた債務整理等に総合的に取り組む。あわせて、感染症後に向けた事業再構築を容易にするため、債務がその足かせにならないよう、新たな事業再構築法制の整備を進める。
また、債務が増大している生活困窮者への対応として、2023年1月から償還が始まる緊急小口資金等の特例貸付について、住民税非課税世帯に対する償還免除や償還が困難な借受人への相談支援等をきめ細かく行うとともに、そのための体制の整備を図る。
以下、骨太の方針全文です。ご参考。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2022/2022_basicpolicies_ja.pdf