【経営コラム】事業開発に挑戦してください!(その3)
過度な同質化競争から脱却しましょう!
■我々の敵はもはや同業者ではありません。
世界標準の経営理論〔早稲田大学ビジネススクール、入山章栄教授著、ダイヤモンド社〕の中で、レッドクイーン理論と(新)レッドクイーン理論が紹介されています。
要点は、「同業者が切磋琢磨してそのスペック競争をしてきたから日本の製造業は世界1の地位を手中に収めることができた。一方、同質的なスペック競争に明け暮れてしまったがために、その大局を見失い、世界標準から取り残された。」この主旨の記述があります。
スペック競争の利点は、切磋琢磨することで磨かれること、これをレッドクイーン理論と呼びます。一方、同質化競争の短所は、大局を見失いパラダイムの変化に取り残されることで、これを(新)レッドクイーン理論と呼びます。
※レッドクイーン(赤の女王)理論〔スタンフォード大学・ウィリアムバーネット教授〕の語源は、不思議の国のアリスの続編、鏡の国のアリス(ルイス・キャロル著)にある「今の場所に踏みとどまりたければ、今の倍の速度で走れ」という言葉です。また、入山教授は、キツネとウサギの生存競争、ウサギはキツネから逃げるためにその走るスピードが速くなる進化を遂げてきた、一方、キツネはウサギを捕らえるためにより速く走る、この無限競争を繰り返しているが、空から飛んでくる違う敵には防戦できない、との例をあげておられます。
●日本のガラケーメーカーは誰を視ていたのか?
同業者間で過度な同質化競争を行っている間にスマートフォンにそのすべてを奪われ全滅しました。
●書店は誰と戦っているのか?
電子書籍やネット書店に売上を侵食され続けています。
●自動車メーカーの敵は自動車メーカーではない?
シェアエコノミーの仕組みが、自動車運行の効率化を図り、総台数を減らそうとしています。
●店舗型旅行代理店の敵は誰?
2000年以降に生まれたネット型旅行代理店に売上が大きく移行しています。JTBの経営危機は、コロナ禍とは違う次元でも起きていたはずです。
●TV局の敵は他局ではない?
他局との視聴率競争に明け暮れる間に、その時間をネットフリックスやYouTubeに奪われています。その存在感が薄らいでいます。
●機械式時計の敵は誰?
(1980年頃、昔の話ですが)スイスの機械式時計メーカーが日本のクオーツ時計に壊滅的なまでに叩きのめされました。
65,000人の内5万人が数年で失職したと言われています。
●あなた、貴社は誰と戦っていますか?
・・・・・
■我々の選択肢は以下の二つです。
1.「今の場所に踏みとどまりたければ、今の倍の速度で走れ」ルイス・キャロル氏の言葉に沿って、現状を維持するために倍の努力を続ける、【管理的機能の強化・改善】を行う
2.【事業開発≒イノベーション】を行う
以下をもう一度ご確認ください。
『多くの並みの中小企業のビジネスモデルはありきたりです。また、成熟期後期から斜陽期を迎えています。事業をマシーンに例えると、マシーン自体が2世代前の代物で老朽化しています。この状況下においても、ほとんどの経営者は【管理的機能の強化・改善】に終始しています。本当に必要なのは管理機能の強化ではなく【事業開発≒イノベーション】です。』
(SP経営協会)
【管理的機能の強化・改善】ではなく、【事業開発≒イノベーション】を断行しませんか。