【経営コラム】事業再構築のための経営の着眼点(その3)
サービス代理店を付加する事例!
前回号の続きです。
事業全体の活性化や事業立地の付加・転換など、事業自体をその本質から見直そうとするときは、ビジネスの全体像を現したビジネスモデル俯瞰図を作ってみるとわかりやすいです。ビジネスモデル俯瞰図を使って、事業の活性化を図りたいときの着眼点を整理いたします。
■着眼点4:サービス代理店を付加する事例を紹介します。
同業者や新規事業を求める事業者(個人含む)に、自社事業のノウハウを提供して自社のパートナーとして活動してもらう事例です。フランチャイズシステムも含みます。
●飲食店等でよくあるフランチャイズシステムもこの様式です。自社の商品やサービスは(本来)自社でエンドユーザーに直接提供・販売すべきものですが、同業者や新規事業を求める事業者(個人含む)に対して自社のソリューション一式を提供して、自社と同じビジネスを展開してもらうことで、加盟料やライセンス料、供給品を提供して収益を上げます。
副業やフリーランスの方々が増える中で、比較的大きな資金を要するフランチャイズシステムではなく、小資金で運営できるビジネスパッケージであれば、個人事業者やフリーランスにも十分受け入れられるはずです。
例えば、多額な投資が必要で大きな売上を見込める商圏は自社で展開し、自社で展開するのには小さすぎる商圏はそのエリアに在住する個人に任せるオプションが現実的です。
今、このような小さな事業パッケージがたくさん生まれています。副業やフリーランス、個人事業者はこのようなビジネスパッケージを探しています。
例1)スマートフォンの修理を行う事業者Aは、大商圏では好立地に自社店舗を出店して展開すると同時に、地方都市やローカルエリアでは自社ノウハウを提供する『修理ノウハウ習得者』を養成して事業を行っています。訓練費用や機材提供収益等を上げることができます。
例2)造園や庭仕事などのノウハウを、独立希望者に教えて事業パートナーを募るB社があります。営業活動は本部が一括で行い、業務は事業パートナーが受託して行います。B社は造園や庭仕事の専門業者で、すべての業務を自社で行っていましたが、あるタイミングから事業パートナーとのアライアンスモデルに切り替えています。
例3)ウーバーイーツは、本部、飲食店、ユーザーの中に組み込まれたサプライチェーンです。受注の仕組み作りと加盟飲食店の開発は本部が行い、ユーザーへのデリバリー機能を引受けます。
◎ビジネスモデル俯瞰図で説明すると、今回の事例は、お客様に伸びる矢印に対して横向きの矢印を新たに作ることになります。同業者や他業種の事業者、個人もパートナーとして引き込みます。特に、副業やフリーランスの方々を自社のサプライチェーンに引き込んで活躍してもらうモデルは、時流に適合した最適解の一つです。
◎ビジネスモデル俯瞰図のお客様の軸を変えるという意味だけではなく、今回ご紹介したモデルは拡張性・汎用性に優れたビジネスの型です。独自性のある商品やサービスを有する事業者様は、自社のみで展開するのではなく、そのソリューションをルール化して、同業者を含む第三者に対して提供することもできます。自社の有する独自性は、同業者にとっては極めて有益な個性であり、同業者からのニーズも大きいはずです。一方、ノウハウやスキルの保護のためには、契約方法や提供方法の工夫が必要です。
…次回につづく