【実践コラム】金融機関との関係構築について

悪い情報も共有することで信頼関係が構築できます

コロナ融資を受けたある関与先様から、「金融機関から試算表の提出を求められたが、融資金の一部を個人的な支出に充ててしまっているため提出したくない。断ることはできないか?」というご質問がありました。

試算表の提出を拒んだからと言って融資金の一括返済を迫られることはもちろんありませんが、金融機関の担当者はネガティブに捉えることは間違いありません。

まずは、試算表の提出を依頼してきた金融機関の担当者に、試算表が必要な理由を率直に聞いてみました。回答は「保証協会に売上高の報告をするため」とのことでした。

よって、「試算表がまだ出来ていないため、売上高だけ集計して提出すればよいか」と確認するとそれでよいとのことです。何かを調べたいのではなく、報告が必要なので単純に仕事として依頼しているという感じでした。

仮に試算表の提出が必須という回答だった場合はどうするべきでしょうか。原則的には、ありのままを提出し、個人的な支出に流用しなくてはならない理由があったならそれを説明し、理由がなければ真摯に反省の弁を述べ、決算までには個人的な支出分を会社に戻す努力をすることをお約束するのが正解だと思います。

試算表の提出(業績の報告)は金融機関との最良なコミュニケーションの機会です。金融機関に対して負い目がある時は、試算表の提出を依頼してきた担当者に対して、「そんなことに対応している暇はない。」などと攻撃したり、不機嫌な態度をとったりする経営者もおられます。不安や保身から取ってしまう行動だと思いますが何のプラスにもなりません。

金融機関に対しては悪いことは隠さなくてはならないとお考えの経営者様も少なからずいらっしゃいますが、必ずしもそうではありません。良いことだけでなく、悪いことも報告して相談することが関係構築の第一歩になります。