【実践コラム】資金調達の基本的なルールについて

資金調達は自己都合ではなく相手都合です

2023年1月の企業倒産は26%増、10か月連続で増加していると日本経済新聞が報じています。コロナウィルス感染拡大が大きな要因のひとつですが、倒産に至った企業の多くは、コロナ以前から何らかの問題を抱えており、コロナウィルス感染の拡大で資金繰りが決定的に行き詰ったと予測します。

倒産を経験した社長様から、「あの時銀行が融資をしてくれていたら・・・」というセリフをしばしばお聞きしますが、資金調達の基本的なルールを誤って認識されていると感じます。もし、自己都合で資金がいくらでも調達できるならば、経営はもっと簡単です。そもそも資金調達とは、相手(金融機関)都合の中でやり繰りするのが基本的なルールであるはずです。

相手都合でしか資金が調達できないという前提に立つなら、相手がどういう基準で融資をしているか研究し、どのタイミングでどれぐらいの資金を調達できるか予測を立て、その範囲内でできる事業を構築しなくてはなりません。銀行が融資をしてくれていたら・・・とおっしゃる経営者様は、自身の事業計画に金融機関が合わせてくれると思い違いをしています。

また、金融機関に対して過度な期待をするのも厳禁です。資金に困ったら融資を受ければよいという甘い認識で、赤字に対してあまり危機感を持たない経営者様がいらっしゃいます。確かにコロナ融資など、救済を目的とした制度融資は存在しますが、あくまでも政府が政策として行っている特殊な制度融資です。
本来金融機関には赤字企業を救済する役割はありません。

金融機関が赤字企業の救済をしない理由はシンプルです。連続赤字など、慢性的な赤字体質に陥っている企業は、理論上、返済をし続けることができないためです。裏を返すと、赤字が続けば、仮に制度融資で調達できたとしても、いずれ経営が立ち行かなくなる可能性が高いことを示唆しています。銀行が融資をしてくれていたら・・・とおっしゃる経営者様は、金融機関の役割を誤って認識してしまったのかもしれません。

資金調達の基本的なルールと金融機関の役割を正しく認識できれば財務の重要性が見えてくるはずです。財務とは、利益管理はもちろん、中長期的な資金繰りの予測を行い、借りられる時に借りられるだけ資金を調達しておくという活動です。

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