【実践コラム】資金繰り表を年初に作る意味について

会社が元気なときほど未来の数字が役に立ちます。

前回は、年初にまず考えるべきはいくら儲けるかではなく、いくら耐えられるかというお話をしました。

では、その耐える力をどのように把握するか。
それは資金繰り表になります。

資金繰り表というと、銀行に出すための資料、資金が苦しくなった会社が作るものというイメージを持たれがちです。

しかし、実務の現場では、資金繰り表は会社が元気なときほど役に立つ資料だと感じています。

理由はシンプルです。
資金繰り表は、未来の話だからです。

決算書は過去の成績表です。
どれだけ細かく見ても、もう起きてしまったことは変えられません。

一方で資金繰り表は、このまま進むとどうなるか、売上が落ちたらどうなるか、投資をした場合に資金は足りるのか、そうしたことを事前に考えるための道具です。

特に年初は、まだ一年が始まったばかりです。
売上も、支出も、投資も、まだ調整が効きます。この時点で資金の流れを一度整理しておくだけで、無理な判断を避けられる確率は大きく上がります。

よくある誤解についても触れておきます。
「資金繰り表は完璧でなければ意味がない」という考え方です。

実際には、数字が多少ずれていても構いません。予測が外れるのは当たり前です。
大切なのは、何もしなければこうなるという見通しを持つことです。

年初に一度作っておくと、売上が想定より伸びた、経費が増えた、投資をしたくなった、そうした場面で判断の基準が生まれます。

逆に、資金繰り表がないまま一年を走ると、判断はすべて感覚になります。
今月はなんとなく大丈夫そう、まだ預金がある気がする、この感覚的な経営が後から効いてきます。

資金繰りは、苦しくなってから考えるものではありません。
苦しくならないために、先に予測を立てましょう。