【実践コラム】経営者の一言一行

銀行との信頼関係に及ぼす影響について

資金力の乏しい中小企業にとって、金融機関との信頼関係は基本的かつ不可欠な要素です。特に、経営者による発言や行動は、この信頼関係を築く、または壊す上で重要な役割を果たします。しかし、その重要性を軽視し、銀行との関係を危険にさらすような行動をとる経営者をしばしばお見かけします。

まず、不透明な財務報告や楽観的な業績予測は、銀行の信頼を損ねる一因です。銀行は貸出の決定に際して、正確で透明な情報を前提にしています。経営者が不正確な情報を提供したり、重要な情報を隠したりすると、銀行はその企業に対する信用を見直さざるを得ません。

次に、社会的責任の欠如もまた、銀行との信頼関係に悪影響を及ぼします。社会問題や環境問題等に対する無関心、不適切な労働条件の維持などは、経営者の倫理観を疑わせ、結果として銀行からの信用を失うことに繋がります。

また、個人的な行動や発言も重要です。経営者が不適切な行動やスキャンダルに関与すると、その企業全体の評判が損なわれ、銀行との関係にも影響を及ぼす可能性があります。

さらに、経営者が「税理士に相談してから回答する」というような発言をすることも、信頼性の問題となり得ます。このような発言は、経営者が自身の判断に自信を持っておらず、重要な意思決定において主体性を欠くことを示唆しています。銀行は、経営者が自社の財務状況やビジネス戦略に精通し、確かな判断力を持っていることを期待します。そのため、このような発言は、経営者の資質を疑わせる行為となり、結果的に銀行からの信頼を損ねることに繋がります。

逆に、こうした問題点を認識し、適切に対処することで、経営者は銀行との信頼関係を再構築することが可能です。透明性の高いコミュニケーション、倫理的な経営、社会的責任の履行は、信頼の回復に寄与します。

銀行と企業間の信頼関係は、両者の成功にとって大変重要です。経営者は、自らの行動や発言がこの信頼関係に及ぼす影響を常に意識し、責任ある行動を心がけることが求められています。
信頼は簡単に失われますが、再構築には時間と努力が必要です。
したがって、経営者はその価値を理解し、日々の一言一行に気を配りましょう。