【実践コラム】経営の基本的なルールについて
資金調達は自己都合ではなく相手都合です
金融機関の担当者からお聞きした話ですが、業績の悪化により会社を清算する企業が増えているようです。
中には、「銀行がもっと貸してくれていたらこうはならなかった。」と恨み言をおっしゃる経営者様もいらっしゃるとのことで、金融機関の担当者も大変辛い状況にあるようです。
あの時、銀行が融資をしてくれていたら・・・というセリフを時々耳にしますが、経営の基本的なルールを誤って認識していると感じます。もし、自己都合で資金がいくらでも調達できるならば、経営はもっと簡単です。相手(金融機関)都合の中で、経営のかじ取りを行わなければならないから、経営は難しいのではないでしょうか。
相手都合でしか資金は調達できないという前提に立つなら、相手がどういうルールで融資をしているかを知る必要があります。そして、どのタイミングでどれぐらいの金額を調達できるか予測を立て、その範囲内でできる事業を構築しなくてはなりません。銀行が融資をしてくれていたら・・・とおっしゃる経営者様は、自身の事業計画に相手が合わせてくれると思い違いをしてしまったのかもしれません。
また、金融機関の役割を誤って認識している経営者様も多くいらっしゃいます。金融機関は、業績が悪化した時に助けてくれる救済機関だと考え、いざという時は融資を受ければよいという甘い認識で赤字に対してあまり危機感を持たない経営者様です。コロナ融資など、救済を目的とした制度融資は確かに存在します。しかし、これは政府が政策として行っている特殊な制度融資です。金融機関には赤字企業を救済する融資は元々ありません。
金融機関が赤字救済をしない理由はシンプルです。連続赤字など、慢性的な赤字体質に陥っている企業は、理論上、返済をし続けることができないためです。裏を返すと、赤字が続けば、仮に制度融資で調達できたとしても、いずれ経営が立ち行かなくなる可能性が高いことを示唆しています。銀行が融資をしてくれていたら・・・とおっしゃる経営者様は、金融機関の役割を誤って認識してしまったのかもしれません。
経営の基本的なルールと金融機関の役割を正しく認識できれば、財務の重要性が見えてくるはずです。財務とは、利益管理はもちろん、中長期的に入ってくる資金と出ていく資金の予測を行い、必要であれば金融機関から資金を調達するという活動です。
是非、ご相談ください。