【実践コラム】果たして借入の返済は可能か
自社の返済能力を把握して対策を講じましょう。
金融機関には原則雨傘はありません。業績が厳しい企業への融資は、回収ができない可能性が高いためです。裏を返すと、業績が厳しい企業は、返済ができない可能性が高いことを意味しています。
しかし、コロナ禍に対処するため、現在は国策として雨傘であるコロナ融資が大々的に行われています。「コロナ融資で今は助かったけれど、3年後から本当に返済できるか不安だ。」と感じていらっしゃる社長様も多いのではないでしょうか。
いざという時のためにコロナ融資を受けたが、その殆どが預金に残っているという企業様は問題ありませんが、足元の業績が厳しく、融資金を赤字補填に使ってしまっている場合は、大変厳しい未来が待っています。
コロナ融資の返済については、何らかの救済策が出るのではないかと噂されていますが、自力で返済する前提で目標を立てておいた方が健全です。ただ、今ある借入を返済するには、どれぐらいの利益が必要か検討もつかないという社長様のために、返済に必要な利益をざっくりと把握する方法をお伝えします。
まずは実質的な借入額を算出します。実質的な借入額は、借入額から預金と平均月商を差し引いて求めます。5,000万円の借入があり、預金が1,000万円、月商が1,000万円であれば、実質的な借入額は、5,000万円-1,000万円-1,000万円=3,000万円となります。
一般的に、借入は最大10年程度で返済できればよいとされていますので、実質的な借入額が3,000万円の場合、1年あたり300万円の利益を出せれば、借入の返済は十分に可能と判断できます。ただ、実際は年間の約定返済額が500万円であったりするため、借り換えなどを行い、返済額を利益の範囲内に収めなくてはなりません。
足元は厳しい状況が続いていますが、返済が始まる頃には、実質的な借入額の10分の1の利益を出すという目線で、業績回復の事業計画を立ててください。
現在の事業の延長線上では、とてもそれだけの利益を出せそうにない場合は、中小企業等事業再構築促進事業制度等を活用し、新たなビジネスモデルの構築に果敢にチャレンジするという選択肢もあります。