【実践コラム】本当の資金調達力とは

目先の資金調達を成功させるスキルではありません。

「中小企業が伸びるか否かは社長の資金調達力で決まる。」と言われることがあります。実際、事業を大きく拡大している企業は、総じて資金調達が上手くいっています。この「資金調達力」とは一体何でしょうか。

ご相談に来られるお客様の中には、本来融資を受けられる実力があるにも関わらず、財務スキルの不足や調達戦略の間違いによって調達に苦労している方が一定数おられます。この場合、弊所で調達戦略を練り直し、融資申し込み資料の作成をお手伝いすることで資金調達が可能になります。一般的には、これらのスキルを資金調達力と呼ぶことが多いようです。

しかし、銀行融資プランナー協会が考える資金調達力とは、このような目先の調達を成功させるスキルではありません。本当の資金調達力とは、「事業の拡大に必要な資金を調達し続けられる体制を構築すること」だと考えます。

そのためには、金融機関と円滑な関係を構築することが必須です。円滑な関係とは、会社の良い面だけでなく、悪い面も含めて理解したうえで、積極的に融資取引をしてもらえる関係です。

もちろん、一夜にして金融機関から信頼を得ることはできません。決算書の提出時に業績報告を行ったり、月次試算表や資金繰表を定期的に提出したりして経営状況を共有し続けることで、徐々に信頼関係が構築されます。

他にも、事業計画書を作成し、経営方針、目指している目標や資金が必要になる時期等を共有しておくことも大切です。

資金調達は、お金が必要な時だけ行うものという認識を改め、常日頃から継続的に行うものと理解して取り組んではいかがでしょうか。経営品質の向上に努め、金融機関と積極的に情報共有を行い続けることで、資金調達力は着実に高まります。