【実践コラム】借入には3つの種類があります

借入を感情的に嫌わず、論理的に考えて活用しましょう

借入にポジティブな印象を持っている方は少ないと思います。ただ、経営者である以上、極端にネガティブになることもよくありません。借入について論理的に考え、上手に活用しましょう。

借入をしたくないとお考えの経営者様から次のようなお話をよくお聞きします。一見正しいように聞こえますがそうでしょうか。

・借金はするなと親から教えられた。
・負債が多すぎて倒産した会社がある。
・自己資金だけで経営した方が安全性は高まる。

借金と言っても借入の目的でその性質は全く違います。遊ぶお金など、消費に回るお金を借りることは健全ではありません。消えてなくなり、新しい収益を生まない借入だからです。新たな収益を生むことを目的とした事業性の借入を、消費性の借入と同一に考えるのは大雑把すぎます。親の教えはおそらく消費性の借入のことではないでしょうか。

負債が倒産の原因とされることがよくありますが、負債が増えればその分現金も増えますので、負債が増えることで倒産することはありません。倒産の原因は負債の増加ではなく、業績の悪化です。業績が悪化したことが原因で、結果として負債が多く残ったというのが正確な表現です。

自己資金だけで経営した方が安全性は高まるというのは本当です。但し、「潤沢な自己資金」というのが正確な表現です。ギリギリの自己資金では、安全性が高まるどころか、非常に不安定な経営を強いられます。自己資金が潤沢にないならば、まずは借入で潤沢な資金を確保し、利益の蓄積とともに無借金に近づけていくというのが流れです。

事業性の借入は大きく分けて3種類あると思います。ひとつは倒産防止のため、手元資金を潤沢にする借入、二つ目は、事業を伸ばすための投資を目的とした借入、三つ目は、赤字を補うための借入です。

倒産防止の借入は、安全性を高める借入ですので、全ての企業が積極的に活用してもよいと考えます。投資を目的とした借入は、事業力に自信がある経営者ならば活用を検討してもよいと考えます。赤字を補う借入は、消費性の借入と同じく収益を生まない借入です。借りる前によく検討する必要があります。