【実践コラム】ファイナンス思考について

短期利益と長期価値、その両立が中小企業経営の鍵です。

最近、経営の世界でよく耳にする「ファイナンス思考」。これは、今期の利益を少しでも大きく見せることにとらわれるのではなく、企業が将来にわたってどれだけキャッシュを生み出し続けられるかという中長期的な視点で経営を考える考え方です。

一方、日本の中小企業経営では「銀行に評価されるために黒字を出さなければならない」「資金繰りを安定させなければならない」というプレッシャーが大きく、どうしても短期の利益に意識が偏りがちです。ここに、銀行の視点とファイナンス思考とのギャップがあります。

銀行は「返済原資が安定して確保できるか」を見ています。したがって、人件費や広告費を削って目先の利益を増やす方が安心されやすいのは事実です。しかし、それだけでは将来の成長の芽を摘んでしまう危険性があります。

ではどうすればよいのでしょうか。答えは、両方の視点を上手に使い分けることです。

銀行に説明する際には、短期的な利益や返済能力をしっかり示す。

社内で意思決定する際には、将来のキャッシュフローを最大化する観点を持ち込む。

この両立のためには、やはり財務の知識が欠かせません。投資の効果を数値で説明できること、資金繰り表で返済能力を裏付けられることが、銀行との信頼を築きつつファイナンス思考を実行するカギになります。

短期利益だけに偏れば、企業は縮小均衡に陥ります。逆に、将来投資だけに傾れば、資金繰りが回らなくなり会社が持ちません。財務の知識を武器に、この両者のバランスをどう取るか。
それが、中小企業経営者にとって最も実践的な「ファイナンス思考」といえます。

ファイナンス思考を自社にどう取り入れるか迷われている経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。