【実践コラム】『新規出店か、既存店舗の改善か?』

利益倍増への賢明な道筋を解説します。

多くの飲食店経営者の皆様は、事業拡大と利益増加を目指して日々奮闘されていることと思います。年間300万円の利益を出す店舗1店舗経営されている場合、その利益を倍増させるにはどうすればよいでしょうか?多くの方が真っ先に考えるのは、2号店の出店ではないかと思います。しかし、今回は別の視点から、より安全で効果的な利益倍増の方法をご提案します。

■ 新規出店のリスクを考える
新規出店は確かに魅力があります。店舗数を増やすことで、ブランドの認知度向上や規模の経済による仕入れコストの削減など、様々なメリットが期待できます。しかし、同時に大きなリスクも伴います。

新規出店には多額の初期投資が必要です。家賃、内装費、設備投資、人材採用・育成など、想像以上の出費が待っています。さらに、新店舗が軌道に乗るまでには時間がかかり、その間は赤字覚悟の運営を強いられる可能性が高いです。

■ 既存店舗改善のメリット
では、既存店舗の改善に注力するとどうでしょうか?利益率の向上と固定費の削減に焦点を当てることで、新たな大きな投資なしに利益を増やすことができます。このアプローチには、以下のようなメリットがあります。

1)リスクが低い:新規出店に比べ、既存店舗の改善は比較的リスクが低く、確実性が高いです。

2)即効性がある:改善の効果が直接利益に反映されるため、成果が見えやすいです。

3)経営ノウハウの蓄積:1店舗の運営に集中することで、経営スキルを磨くことができます。

4)ブランド力の向上:1店舗の評判を高めることで、将来の多店舗展開の基盤を作れます。

5)キャッシュフローの安定:新規出店に伴う資金繰りのリスクを避けられます。

■ 具体的な改善策
では、具体的にどのような改善を行えばよいでしょうか?以下に、利益率の改善と固定費の削減のためのアイデアをいくつか挙げてみます。

1)利益率の改善:
・F/Lコスト(食材費と人件費)の最適化:適切な原価管理とメニュー設計、効率的な人員配置を行います。

・高付加価値メニューの開発:利益率の高い商品を提供し、客単価を上げます。

・販売促進の強化:リピーター獲得や新規顧客の開拓に注力します。

2)固定費の削減:
・水道光熱費の節約:省エネ設備の導入や従業員の意識改革を行います。

・家賃の見直し:可能であれば、家主との交渉や立地の再検討を行います。

・業務効率化:ITツールの導入やプロセスの見直しで人件費を抑制します。

■ 長期的な視点も忘れずに
既存店舗の改善に注力することは、短期的には非常に効果的な戦略です。しかし、長期的な成長を考えると、将来的な多店舗展開も視野に入れるべきです。既存店舗の改善で得たノウハウと安定した収益基盤を元に、慎重に計画を立てて展開していくことが、持続可能な成長につながります。

■ まとめ
飲食店経営において、利益倍増は決して夢物語ではありません。しかし、その道筋は必ずしも新規出店だけではないのです。既存店舗の改善に注力することで、より安全かつ効果的に利益を増やすことができます。自店の強みを見極め、地道な改善を積み重ねることが、長期的な成功への近道となります。