【経営コラム】事業再構築のための経営の着眼点(その16)

中期経営計画を疑ってみる!

■着眼点22:中期経営計画を疑ってみる!

●未来は予見できない、これは紛れもない事実です。自社の具体的な未来予想図は描けません。それでいいのです。

であるにも関わらず、現時点を基準にした高精度な将来計画を作り、その計画に過度に執着することは、これから起こり得るイノベーションの芽を摘んでしまいかねません。

事業全体の活性化や事業立地の付加・転換など、事業自体をその本質から見直そうとするときは、今手元にある中期経営計画を疑ってみることも重要です。

●多くの成功者が語る過去からの成功談はすべて後付けです。

1.人は、その未来を予見することはできません。変数が多すぎるからです。
2.人は、過去を整理することは得意です。寄り道部分を除いて単純化して話します。
3.故に、(多くの成功者は)あたかも計画通り進んで来たかのように見えます。
4.事実はそうではなく、あまたの寄り道・失敗を経て今があります。

高精度に未来を予見しようとする行為は百害あって一利なしです。未来につながるレールは存在しません。

●中期経営計画を鵜呑みにしてはいけません。

3年後、5年後、10年後の自社の姿なんて『わかるはずない!わからなくていい!いや、決めつけてはいけない!』と考えてみてはいかがですか。

5か年経営計画の意味は、『今の延長線上ならこうなるとのシミュレーションに過ぎない』との認識が必要です。
これを経営計画と錯覚してしまうとイノベーションは起きません。5か年経営計画と呼ばず、【現状の延長時の5か年シミュレーション】と呼ぶべきではないでしょうか。

※【現状の延長時の5か年シミュレーション】には相応の存在意義があります。

●中期経営計画の位置付けは…

◆既存事業の部分は『現状の延長時の5か年シミュレーション』と定義して、正確な執行を心掛けましょう。

◆新規事業の部分は『想像力を働かせながら、加減しながら取り組むこと』と定義して、柔軟に進捗させましょう。
新規事業の部分を計画に落とし込んで・決め込んでその計画通りに執行すると、投資が先行(経費が先行)して危機を招くことになりかねません。

◎以下の決意で経営してください。
未来は予見できない!未来を決め込まず、想像力を働かせながら今を必死に生きる!

・高校生の進路指導で、『あなたは将来何になりたい?』
・新卒の入社試験で、『あなたは当社でどんなことを実現したい?』

こんな愚問を投げるのは止めましょう。当時自分が何を考えていたかを思い起こして考えてみましょう。

…次回につづく