【実践コラム】先行投資により営業CFがマイナスになる場合の資金調達

資金繰り表を使ってマイナスの要因を明確に説明しましょう

営業CFのマイナスを理由に融資を断られることがあります。しかし、営業CFがマイナスになる要因は、必ずしも業績不振だけではありません。業績が好調で先行投資を積極的に行っている会社も、営業CFがマイナスになることがあります。

先行投資によりキャッシュフローがマイナスになっている場合は、先行投資を止めれば、いつでもキャッシュフローをプラスに転じることができます。営業不振によるものとは全く違いますが、営業CFのメカニズムを深く理解していない銀行員も多くいますので必ず説明が必要です。

粗利率30%、販管費支出が月100万円の通信販売事業者のケースで考えてみます。100万円の販管費支出をカバーするには、100万円の粗利益が必要ですので、最低でも、233万円の仕入れを行って、333万円の売上高を獲得しなければなりません。

もし、営業不振により、売上高が300万円しか獲得できなければ、粗収支は300万円-233万円=67万円になりますので、販管費支出100万円をカバーできず、33万円の営業CF赤字となります。

しかし、営業が好調で400万円の売上高を獲得しても、更なる売上の増加を目指して350万円の仕入を行えば、粗収支は400万円-350万円=50万円になりますので、こちらも販管費支出100万円をカバーできず、50万円の営業CF赤字となります。

前者の場合は、売上を増やさなければ営業CFをプラスにすることはできませんが、後者の場合は、400万円の売上高に合わせて、仕入を280万円に抑えれば、いつでも20万円の営業キャッシュフローを確保できます。

このことを銀行員に理解してもらうためには、資金繰り表が必須です。言葉だけで説明するのは困難ですので、資金繰り表を示して、「売上高が予想を下回っても、ここの仕入れを抑えれば営業CFはいつでもプラスに持っていけます・・・」という風に、シミュレーションを交えて説明すれば、「なるほどそういうことか!」と理解してもらえます。