【実践コラム】返済が出来なくなった時の対応方法について

金融機関からの連絡は絶対に無視してはいけません

ある関与先様から、「業績が回復せず資金繰りが厳しい。次の返済が出来そうにないが、延滞したら自宅を差し押さえられたりしないか心配だ。どのように対処すべきか。」とのご相談がありました。

返済が難しくなった時の一般的な流れは以下となります。

1.返済条件の変更
金融機関は、融資先から返済が出来ないという相談を受けた場合、まずは返済金額の減額を行って様子を見ます。

2.代位弁済(保証協会利用の場合)
返済条件を変更した状態からさらに業績が悪化し、金利や追加の保証料すら払えなくなった場合、金融機関は保証協会から融資金を回収します。この時点で、貸主が金融機関から保証協会に変わりますので、その後の返済計画については、改めて保証協会と協議することになります。

3.差し押さえなど(プロパー融資の場合)
プロパー融資の場合も、条件変更からさらに業績が悪化した段階で担保の処分や連帯保証人の資産差し押さえ等を行います。主要な資産を差し押さえられると事業を継続できませんので、多くの場合はここで事業の継続を断念することになります。

上記のとおり、金融機関は一度の延滞だけで、いきなり差し押さえを行うようなことはしません。貸出条件の変更等により、業績の回復を相当な期間待ってくれます。ただ、これには経営者が業績の回復を諦めていないこと、さらに金融機関と情報共有が出来ていることが大前提となります。

経営者自身が業績の回復を諦めてしまえば金融機関は回収に走らざるを得ません。また、十分な説明が得られない、連絡が取れない場合も、強制的な回収に走らざるを得なくなります。返済のあてがない時は、金融機関からの連絡に応じるのは苦痛ですが、貸し手の立場で考えると、連絡が取れないほど不安なことはありません。

業績が苦しい時ほど信頼関係が重要です。貸し手の理解を得られるよう真摯に対応すれば、相手も真摯に対応してくれます。
無駄に恐れることはありません。